未来会議 | Vol.2 前編 | 2023.03 update

ゲスト
一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)理事長
石田秀輝さん
株式会社LIXIL INAXライブミュージアム主任学芸員
後藤泰男さん
椙山女学園大学教育学部3年
笹野はな香さん

ファシリテーター
株式会社ロフトワーク アートディレクター 小川敦子

 元 株式会社INAX CTOでもあり、現在は一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)理事長を務める石田秀輝さん、株式会社LIXIL INAXライブミュージアム主任学芸員 後藤泰男さん、椙山女学園大学教育学部3年 笹野はな香さんの3人をゲストに「豊かな社会と未来を描く」をテーマとしたディスカッションを行い、多重視点型の議論を展開。ファシリテーターは、株式会社ロフトワーク アートディレクター 小川敦子が担当した。

−議論の背景について−

 INAX(現:LIXIL)は製品や活動を通じて人々の心を豊かにすることを社員一人ひとりの文化度の向上によってめざし、実現してきた企業でもある。1985年、社名を伊奈製陶からINAXへと変更し、CIの刷新を行なった。当時の社長 伊奈輝三氏は「企業は経済機関であるとともに文化機関でなければならない」すなわち「経済と文化は両輪である」と明言し、1991年に書かれた直筆の資料には「INAXの文化活動は、本来の事業活動と遊離した存在であってはならない。事業そのものが生活文化創造事業であることに注目すべきである、メセナ活動ではない」ということが書かれている。石田氏は、当時のCI刷新に関わった中心メンバーの一人である。
 名古屋市にある椙山女学園大学を設置する学校法人椙山女学園は、120年近くの歴史を持つ女子教育専門の教育機関である。時代に応じてその教育内容を変化させつつ、一貫して「女性により高い教育を提供する」ことをめざし続けている。同学園は「人間になろう」を教育理念として掲げ、世界中の人々が人間性を尊重しあう社会をめざしている。
 株式会社ロフトワークは、「We belive in CREATIVITY within all〜すべての人のうちにある創造性を信じる」ことをパーパスに掲げ、人間の内側にある可能性にフォーカスを当てている。
 4社それぞれが、それぞれの視点によって「人間」を深く掘り下げている点、また、性別や立場や年齢も画一的ではなく、多様であることを前提に多重視点により議論を展開することを重視した。

後藤:企業博物館のミッションは企業価値やブランド価値を向上することで、本来なら、INAXは何年に創業して、どのような製品を開発してきたかということを展示するべきなのかもしれませんが、当館ではそのようなことはしていません。
 LIXILは存在意義として「豊かで快適な住まいの実現」ということを掲げており、その一環としての文化活動というものを行っています。そのため、「LIXILは」という主語を「世界中の人々は」に置き換え、「商品は」という主語を「建築陶器は」「タイルは」「テラコッタは」「トイレは」とに置き換えて、展示を行っています。これが、INAXライブミュージアムの運営上の根本的な考え方です。だから、LIXILは云々・・ということは、ほとんど出していません。「やきものをつくる楽しさを体感する」「心の豊かさについて共に考える」のがミュージアムという場であり、そのような価値を提供していきたいという思いで運営しています。
 また、社員にブランドの歴史背景を共有する場としての役割も持っています。百年に及ぶモノづくりの歴史から暮らしを豊かにすることを伝える「LIVING CULTURE」をテーマに活動をしています。
 伊奈輝三氏が当時社長だったとき、1985年に伊奈製陶からINAXという名前に社名変更とCI(コーポレートアイデンティティ)の変革をしたのですが、1991年に伊奈氏が直筆の資料を用いて役員会で勉強会を開きました。
 勉強会ではINAXは<経済機関+文化機関>ではなく、<経済機関と文化機関が一緒に存在する>というイメージを共有して活動をしていくという精神を今に引き継いでいる。そのような考え方で運営をしているとありました。

 

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石田:当時、私たちがCIの変革をやったんだけども、社長の考えを具体化するのに社員だけでは無理なので、中心メンバー5人が大手コンサルティング会社へ約2年出向して、このような概念を作り上げようと、当時、重要なポジションにいた社員全員を経営企画部長にして、出向先の大手コンサルティング会社からも5人参加して、10人のプロジェクトで変革をやりました。それで、一気に変わったということがありましたね。

笹野:以前、ミュージアムを拝見しに来館したことがあったので、今日が初めてではありませんでした。まず、今日の後藤さんからのオリエンテーションによって、LIXIL、INAXの全体像がわかりました。企業の製品ばかりではなく、ここでは、このような世界観のものが並べてあったので、いわゆる企業のミュージアムとは根本的な観点が違うんだなというのは、お話を聞いて、さらに納得しました。

石田:文化事業は昔からやっていて、出版もやっていました。それから、当時、六本木のアークヒルズの最上階に世界のトイレを集めてショールームを作ったのだけど、INAXのものはほとんど置かなかった。そういう文化は元々ありますね。

笹野:このミュージアムは、楽しいです。普通とちょっと違って、これだったら来たいなと思いますし、例えば、“泥んこ”のイベントも、今ではなかなかできない、環境的にできないことも、やれるところが凄い。私の母が幼稚園の先生をやっているのですが、園児みんなが来れたら子どもたちもみんな楽しいだろうなと感じました。

石田:昔から文化度をどうやって上げるかという議論をずっと続けています。なので、社員の中での反感がないんですよ。普通、こういうことをやると利益を生まないというようなことを言われますよね。
 一方で最近強く感じるんですが、学生を教えていると、あなたよりも少し年上の大学院とか博士の学生でも明らかに昔と違う。そう、Z世代と言われる人たちは未来に対する本能的な不安感みたいなものが、どうもあるように私は思っています。授業の理解度もものすごく高い。もう40代、50代だと、いい話を聞いたけど、そんなことは無理ですと言うんだけれど。今の20代はすごい。だから期待してる。ずっと一つの地球で暮らすためにはというようなことをやってきて、なかなか世の中が変わらなかったけども、ひょっとしたら、Z世代が変えてくれるんじゃないかな。私たちは、そのためのレールだけ何本も用意しておいて、どれでも乗ってくださいと言えるように準備をする。それが、私の最後の仕事かな。

笹野:がんばります。大丈夫かなあ…

後藤:我々は、もう次世代に託すしかないです。

石田:そういうのを責任逃れという(笑)。まだまだやらなきゃ。
 INAXの変革のときには、とにかく文化度の高い場所で知的な議論をするみたいなことも繰り返し、もちろん現場のヒアリングは当然ですが、会社の組織を全部変えていきましたね。だから、コンサルティングチームとは、良い意味でガンガンやり合って、向こうも相当の人を出してきてくれたから、そんなことが成立したんですがね。それから一気に回復しました。やっぱりINAX変わったなって。当初は、服や建物など色々なものが全部変わっただけで、結局、中身が変わってないじゃないかということで、社長(伊奈輝三氏)が初めはずいぶんお悩みになって。企業とは文化を提供する機関だという概念を打ち出された。早かったと思いますよ。

小川:なるほど。先見の明とは、まさに、このことですね。では、そろそろ議論を始めていきましょう。
 本プロジェクトは、循環型の未来を描いていくことが基本的なテーマです。元々は、経済の循環=サーキュラー・エコノミーというところからスタートしているのですが、経済の側の話だけしてても駄目だねということになり、今期は、豊かな社会、豊かな未来を描いていくというところを中心のテーマに設定しています。
 ちょうど、1年前の後藤さんのインタビューでは、INAXが経済と文化の両輪と考えていたということ、会社が大きく変わったときの話などをしていただいたのですが、今日は、昨年度のインタビューを基本的な土台とし、さらに、「豊かな社会と未来を描く」ことをテーマに議論を進めていきたいと思います。
 今は不確実性の高い社会で、だからこそ改めて心豊かな暮らしや社会とはどういうことか、一人一人が自然や共同体やローカルという土台に根付いて繋がる新しい共生社会のあり方とは何なんだろうかというところが、今日の対談を通じて見えてきたらいいなと思います。さきほど石田先生も仰っていましたが、今まで社会を作ってきた人もそうですが、これから未来を切り拓いていく笹野さんのような次の世代に繋げるということを念頭に、お話できればと思います。


テーマ1 :経済と文化。人間が人間らしく生きることのできる新しい経済とは。

 今日はテーマを4つ設定させていただきました。まず、テーマ1経済と文化について。人間が人間らしく生きることのできる新しい経済とはなんだろうかという話をしていきたいと思います。
 「経済と文化は両輪である」という話ですが、今一度、INAXブランドが捉えている「文化」とは、一体どのようなことを意味しているのか? 後藤さん、石田先生から、お聞きしたいと思います。

後藤:「経済と文化は両輪である」と言ってきたわけですが、逆に、それは違うのではないかと言う人もいます。要するに、人間が生きる中で文化というのは、もっと大きなもので、経済活動というのは文化の一部でしょうと言われることもあります。それを「経済と文化の両輪」と言ってしまうのは、間違いではないかと言う方もみえます。
 結局、企業というのは、経済活動をしなければ、利益を生み出さなければ成り立たないということは純然たる事実です。かといって、文化をベースに利益を生み出すのかということかというとそうではなく、人間の根源としての文化度を高めながら経済活動を回していくという意味合いなのだろうと思います。
 以前、渋沢栄一の大河ドラマをやっていて、論語と算盤の説明において、道徳的な活動をして適切な利益を生み出すことが、企業活動、民間の活動なんだと言われていて、似ていると感じたことがあります。すなわち、きちんとした文化的な活動をしながら経済利益を生み出していく活動をし続けることが重要なのかもしれません。ライブミュージアムの活動に対して、利益を生まない活動として切り捨てる意見もなかったわけではありません。いくつかの企業が行っている財団化して独立することを検討したこともありました。
 一方で、提供するサービスや質の文化度の高さが世の中から評価を受ける時代になっていることも事実です。過去、「暗い、汚い、臭い」と言われたトイレ空間を「ハレ」の場として提案した「第3空間構想」や「抗菌、節水」などのさまざまな水まわり空間の改善活動を行っている中で、社員が文化的な生活をしていない限り文化的な商品を生み出すこともできないし、文化的な商品を提供することもできないことに気づいた。
 ここで言ってるのは、社員自身が文化度の高い生活を送るようにならないとだめですよという示唆だと理解しています。私たちの活動に社員教育がありますが、要するに住生活に関わる商品を扱う社員こそが文化度の高い人間にならないといけないということを我々としては結論としています。

小川:石田先生は、INAXが本当に大きく変わるタイミングに関わられていました。伊奈輝三氏が当時考えられていた文化というものは、どういうことなのでしょうか?

石田:この当時は、後藤さんがおっしゃったように「生活文化」だよね。この時代は、まだ右肩上がり、ちょうどバブルが崩壊した直後ぐらいの時代で、まだまだ物質的な物の世界。その中で、あえて物質だけではない精神的なものもあるということを社長が仰った。とても高い視点だったと思います。
 その当時の文化というのが、おそらく社会を構成するために求められる要素、根底にある要素だという、そういう価値観だったのだと思います。私たちも、それをベースに仕事をしてきた。しかし、この後、1992年にリオで気候変動枠組条約締約国会議(COP)があり、地球環境というところに大きく舵を切らなければならないとなり、文化の価値は今どんどん変わってきている。あれから30年経っているわけです。今、文化と言うと定義はたくさんあるのだけど、私個人としては文化とは「繋がること」。それも、今までは人と繋がることで文化ができていく、要するに人を繋ぐためのいろいろなボンディング、日本語で言うと繋がるための接着剤みたいなもの。そういうものが文化になり、今は人と人の繋がりだけではなく、自然との繋がりといった循環という言葉で表現したらいいのかも知れないですが、いろいろなものが繋がっていくことを文化と定義をする時代になっているというのが、私の考えですね。
 もう一つ大事なのは、文化はネガティブであることは当然ないのでポジティブであるということはもちろん根底にある。ポジティブにあらゆるものが繋がる。一番大事だね。

 

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小川:30年前、すでに精神的な豊かさへ視点が向かっていた。

石田:30年前、もう飛びぬけて進んでいた。

小川:当時は、これを打ち出していくことで、モノそのものを作ることに主軸を置くよりもライフスタイルという価値を創造していくことに繋げたということでしょうか。

石田:ライフスタイルそのものが豊かであることをめざしたんだよね、その当時。

小川:それをやるからには、作り手側の社員さん一人ひとりが感性を高めていくことこそが大事なのだということを30年前に決めたということですね。

石田:それを組織と商材と両方で探していくということをやりました。

小川:さきほど先生が仰ったように、この30年で文化と言われるところがより広がってきていますね。

後藤:人と人が繋がるというのはなんとなく理解できるのだけど、自然と人が繋がるということもなんとなくはわかるのだけれども、自然の循環の中に人間が入っていかないといけないということなんでしょうね。今はもう完全に切れているということなんですよね。

小川:去年、「土は循環してない」と住田さんからの指摘(昨年度実施した公開ディスカッションで、アドバイザリーボードメンバーの住田氏より、そのような指摘があった)がありましたね。

石田:それは、ちょっと時間軸が短すぎて。土は元々地球上にはない、石しかないんですよ。その石が風化し土になり、粘土になっていくので。そういう意味で言うと、焼き物が循環しないというわけではない。焼き物のコーヒーカップで計算をして、120〜130回使うと紙の使い捨てのものより遥かにLCA的にはいいんです。メリットが出るんですね。焼き物は循環しなくて、エネルギーを使って1300℃で焼いてと言うのだけども、計算するとプラスチックのコップは50回ぐらいで負けてしまうからね。焼き物は、すごくレベルが高いですよ。循環します。

後藤:焼き物は人工物なのかなというのは、要するに自然にあったものを自然の摂理に従って、火で焼いて水が飛んで結合するだけであり、他に化学物質は一切使っていないわけです。そういう意味で言ったらいいのではないのかな。それが、工場内でやっている限りは100%リサイクルできるけども、それが一歩外に出ると人工物、他のものが必ずついてくるために、それは、できなくなることなのではないかと思っていて。プラスチックは、どんなに細かくしたってマイクロプラスチックじゃないですか。プラスチックであり続ける。ところが、焼き物は細かくすると、もう土なんです。自然界にあるものだというところは違うと思っています。

石田:そんなに無理に理解しなくても。例えば、石器時代に石器をつくる。それが、人工物か人工物じゃないかという議論と同じですよね。人間にとって役に立つものは、すべて人工物だという定義だってできるわけです。ところが、それをLCA的に計算すると、トントン石を叩く分には、人間のエネルギーだけなので、ほとんどエネルギーがかからずに人工物ができる。焼き物だと、石油資源を燃やすので環境負荷がかかる。でも、これも50回60回と使うと、プラスチックのコップよりはいい。これが循環するかどうかということになると、LCA的に計算できるのですが、プラスチックは循環できない。循環させようとすると、またエネルギーを加えなくてはいけない。そうすると、定量的に焼き物の方がベターだと出てくるわけです。だから、別に人工物であっても構わないと定量的に言うこともできますよね。
 だから、人間の役に立つように物を変えたら、全部人工物だと思った方が楽ですよね。プラスチックを扱う方々からすると、プラスチックを循環させるために、今の方法ではできないけども、どうやったら循環できるだろうか? ということを一生懸命考えている人たちがいる。バージンの原料を使うか使わないかは、取引先に言う必要はなくて、どういう性能がほしいか? そうしたら、それをリサイクル品で作りますという会社も出てきています。そうすると、バージンよりも、遥かに環境負荷の低いものができる。だから、プラスチックがいい、悪いではなく、どう循環の中に入れるか。あらゆるものが繋がるという中に入れるのなら別にいいじゃないかという概念ができる。焼き物の場合、最後の最後には砂になるんです。それが、粘土になるんですと言った方がいいかも知れないですが。

小川:もう1回エネルギーを加えなくても、細かく粉砕して置いておいたら生分解されるのですか?

石田:生分解はしない。基本的には石と一緒です。風化や熱水変成などの地球の力でより安定なものに変化するんです。

後藤:石と同じ成分だから、自然の循環的に何も問題がないというのが基本的な考え方です。

石田:プラスチックは、地球上にないので、そういう意味では、自然界の中に投げ込んでしまったらまずいでしょう。地球の力で安定なものに‥とはいかない。海洋流出プラスチックが問題になっていますが、海だけでなく、既に大気中にも滞留していることがわかっています。今ここに、この空間にプラスチックが漂っているんです、そして、あなたも毎週クレジットカード1枚分、約5gのプラスチックを体に取り込んでいる。それも表面に残量性汚染物資、PCBやDDTがたくさんついたプラスチックを、です。北半球に住んでいる人全員がです。

後藤:クレジットカード1枚分ですか。1週間に。

石田:ヒマラヤの上にいようが富士山の上にいようがどこにいてもです。その方が怖い。はい、脱線しました(笑)。

 

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テーマ2 :心豊かな暮らしや社会とは何か?

小川:では、次のテーマに入りますね。
 心豊かな暮らし社会とは何かというテーマです。不確実性の高い現代社会において、今後、環境問題を含めて、ますます厳しくなることが予測されています。だからこそ、このような「不便さ」を“喜ばしい制約”と捉え、未来をワクワクするような心豊かな暮らしができる未来を描くことについて、昨年度実施の公開ディスカッションにて石田先生は説かれていますが(2022年1月8日実施)、この辺りをもう少し詳しく、石田先生から伺いながら、「心豊かな暮らしや社会とは何か?」学生の皆さんが思い描く未来を中心に、議論を進めていきたいと思います。


石田:原点は先ほど言ったように、物質的な豊かさから精神的な豊かさに変わらざるを得ない時代を迎えてしまった。これが一番。それは、どういうことかというと、この100年間で人間が作った人工物が1900年には350億tだったのが、一昨年2020年の12月には1兆2000億tを超えてしまった。32倍なんです。1兆2000億tというのは地球上の生物の総重量と同じです。地球上の生物は太陽のエネルギーだけで完璧に循環をしてゴミを出さない。ところが我々が作った人工物は機能を果たすとほとんどゴミになる。なので1兆2000億tのゴミを作ってしまった。それを作るために地球のあちこちにたくさんの穴を開けてしまった。それが地球環境問題。
 穴を開けたエネルギーだとか、作り出した物を動かすためのエネルギーが気候変動を起こしている。それから穴を開けてしまったばかりに、生態系を壊してしまった。これが生物多様性の劣化に繋がっている。例えば森林について言うと、今3.2秒でサッカーコート1面分の森林がなくなってます。それくらいのペースで人間が自然界を破壊している。
 そんな中で、地球環境問題で2030年までにどうしても対応しなくてはいけないことが三つあり、最大の問題は生物多様性の劣化を止めることです。これは、もう修復できないところまできています。2番目が気候変動と、さきほど話をしたマイクロプラスチック。そういう状態になっているわけです。
 その間に人口がどれだけ増えたかというと、4.9倍です。人口の増え方に比べて遥かに物質的なものを作りすぎてしまい、その結果自分で自分の首を絞めているのが地球環境問題です。ということは、これ以上右から左へのリニアな物質作りはきっとできない、やってはいけない。
 そうすると、物質的な豊かさから、精神的な豊かさに変わらなくてはならないけども、精神的な豊かさって一体何でしょうか? みんな、心豊かにと平気で言うのだけど、私は何年か研究をしてきて、定義として、自立型の暮らしをすることだと考えています。
 今までは依存ですよね。困ったことがあったら、利便性だけを追って、いろいろな機械を買えばいい。そうではなくて、自立型のライフに変わること。調査をしても多くの人が依存型から自立型のライフスタイルに変わりたいと思っている。ところが、自立型の究極は自給自足。それは、依存型の暮らしをしてる人には、無理なんだ。
 そうすると、自立と依存の間に大きな隙間があり、この隙間を埋めることがこれからの新しい暮らし方の形なんだろう。それを間を埋めると言っているのですけども。その間の埋め方とはどういうことかと言うと、ちょっとした不自由さや不便さ、これを喜ばしい制約と言っていますけども、それは自分だとか個人あるいはコミュニティの知識、知恵、技で埋めていく。
 そうすると、愛着感、達成感、充実感が生まれる暮らしができる。例えば、家庭菜園で曲がったキュウリを作る、小さなトマトを作る。自分で一生懸命考えて、いつ水をやるか、温度をどう管理するか、どこで栄養をやるかと、いろいろなことを考えて制約を埋めていく。そうすると、曲がったきゅうりであっても愛着が湧くわけです。典型的には、車から自転車になったり、家庭菜園があったり、DIYがあったり、ちょっとした不自由さ不便さを埋めていくような暮らし方が心豊かな暮らし方の一つの形なんだ。
 それで、トレーニングがどんどん進んでくると、ちょっとした不自由さ不便さのレベルがどんどん上がっていく。究極は、自給自足になるのだろうけども、そこまで、ゆっくりゆっくり行けばいいんだ。そういう格好の暮らし方というのがこれから大事になるのではないのかな。
 ちょっとした不自由さ不便さを加えるということが本当にできるんですか? という疑問は、僕の中にもあったし、多くの人から質問されました。コロナの3年間、三密という制約がかかりました。その中で300人くらいにアンケートやインタビューをしたのですが、みんなその中でどうやって豊かに暮らそうかと一生懸命考えている。だから、私はいけると思っている。それが、心豊かな暮らしだと思っている。それが集まったものが、社会になるので従来の延長とは全く違うものが見えてくる。
 もう少し言うと、コロナで300人のインタビューをして、そこから出てきたキーワードを処理すると、実は2030年の社会が見えてくる。そこにはすごく面白いことで、個のデザインという新しい概念が出てくる。今までみんな右へならえで誰かが何かをしたら同じようなことをする。
 そうでなくて、今回のコロナで、個のデザインと言って、あなたの自由を認めるけども私の自由も認めてねというような暮らし方、身の丈にあったとか、自分の個性に合った、そういう暮らし方や働き方、学び方がどんどん湧き出るように出てきた。個のデザインをベースにしながら、5本ぐらいの柱が見えているのですが、新しい社会へ移行すれば、さきほど言ったような、自分で自分の首を絞めることが急激に減ってくる。そういう社会がこれからの豊かな暮らしということではないのかな。
 だから、1991年にINAXが考えた豊かな暮らしは生活に非常に収斂している形ですが、そこから地球環境というような話があり、この30年間で今のような概念に移行せざるを得ないのだろうということが私が思う心豊かな暮らし、あるいは社会です。

笹野:今の石田先生のお話にあった、制約とか、その間を埋めていく中で、自分はどう思うかというと、私は自給自足というか、生活のDIYとかも親戚にそういうことをしている人がいるので共感できますし、それが、みんな同じ、共感できるようになっていけば、その間も埋まるのだろうなと思いました。そこまで持っていく間、みんなの意見を聞く間、あと最近は多様な個性が社会的に認められつつあるので、先ほど石田先生が仰ったように、確実に、それぞれの個性に合ったようになっていくのかなということを感じました。

石田:服のリメイクのようなことも、当たり前のように始まっているし、私たちが言わないでも、みんな、雨後の筍のように、そういうことが、どんどん出てきていますね。ただ、生まれてくるものをさらに引き上げてあげないと、一つの文化が醸成しないのだと思います。それを論理的に示すことが我々の仕事かもしれない。

小川:笹野さんは、不便さというものを楽しめそうでしょうか。

笹野:楽しめるかと言ったら、自給自足の合宿所に学校の授業で行ったことがあります。本当に自分で耕して、自分が残した食べ物は動物の餌となって、全部が循環している、そういう場所に行ったのですが、なかなか乗り越えないといけないもの、すごく辛いものがあったのですが、でも、その中で達成感が、ああよかったな、気持ちいいなという思いに変わるように続けていくことで、まず、みんながやってみて、体験することで変わっていくんだろうなと思います。

 

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石田:そこは、喜ばしい制約と言っているのですが、越えられる制約でないと嫌になるんです。これは科学的に証明ができていて、脳は4つの構造に分かれています。今日の話だと、新しい脳と古い脳。古い脳は700万年前に人間が2足歩行を始めたときから、ある脳です。新しい脳は、250万年くらい前からできた脳。新しい脳の大きさが1000ccで、古い脳が500ccくらいです。
 新しい脳は、体の筋肉と一切繋がっていないので、考えることはできるが、行動ができない。行動は全部古い脳が担わなければいけない。古い脳が700万年前からあるということは、要するに、生きるための脳なんです。だから変化を好まない。要するに、頭の中では、こうしなくてはいけないと思っても、やらない理由を一生懸命考えてしまう脳なんです。
 その古い脳に働いてもらうためには、ちょっとした不自由さくらいなら、今回のコロナのように今までと同じ生活はできないから、ちょっと協力してくれよと新しい脳が言うと、しょうがないな、ちょっとだけだぞと言って、その中で新しい暮らし方を見つけてくる。だから、ほんのちょっとの制約がすごく大事で、それを繰り返すと古い脳も勉強してくれるので、今までは、ここまでしか越えられなかったけど、ここまで付き合おうとレベルが上がってくる。最終的には自給自足になるので、それまではすごく道のりが遠い。最初からこっちをやろうよと言う必要はないと思う。ループで上がってくる。そういうことがすごく大事。

笹野:自分の自給自足の経験を振り返ってみると、ああそうだなと思います。過酷なことはちょっと嫌だなということがあったのですが、少しずつ許せる範囲で積み重なっていくと、今聞いた通りに本当に長いスパンですけど、可能性は絶対あると思いました。

石田:ちょっとした不自由さを越えるのであれば、古い脳も喜ぶんですよ。それが達成感、充実感、愛着に繋がる。だから、古い脳を上手に調教しながらやることが、すごく大事。特に、左脳の方の古い脳。脳の話は、また時間があるときにいつでも。

後藤:やはり、ちょっとした不便さなんですよね。LIXILでも、豊かで快適な住生活をめざしましょうとありますが、今仰っているのは、豊かで不便な住生活を楽しみましょうということでしょうか。

石田:もう、不便さが豊かなんです。豊かで不便ではなくて、不便さが豊かである。

後藤:そういうことなんですよ。だから難しいですよね。快適さを提供してきたのだけれども。

石田:もうそれはできない。

後藤:もうそれが快適さではなくなってくるわけですよね。

石田:快適さではなくて、それではもう生活ができない。エネルギーに限界があり地球環境にも問題がある。

後藤様:快適さが、なくなってくる。

石田:従来型の快適さ、がね。

後藤:従来型の快適さ、ではない。そういう、ちょっとした不便さが豊かになるということを許容しなくてはいけない。

石田:だからフォーキャストで、従来の延長で豊かさを考えると、どうやってもたどり着けない。だから、バックキャスト思考が必要なんだ。その結論は、ちょっとした不自由さ不便さを喜ばしいと感じる暮らし方。

小川:これまで、非常に洗練された快適さを追求してきているがゆえに…

後藤:ボットントイレに戻れるかと言ったら戻れないわけだよね。

小川:例えば、そういうことを「うわっ」と思うということは、それが、思い浮かべられるんだと思うのですが、でも先生が考えている喜ばしい制約というのは、またちょっと違うのでしょうか。

石田:戻るのではない。進化したことそのものが、お洒落になってくる。

後藤:戻っては駄目なんだ。

石田:それをみんな、ある意味コロナ禍の中で平気でやった。そこから新しい価値観が、ものすごくたくさん生まれてきた。日本では、コロナで温室効果ガスが30%減ったんだから。最先端の機械をなにも使わないで、30%減ったんですよ。人間って、凄いんですよ、やれるんですよ。大変だと、みんな口では言いながら、本当にどれぐらい大変だったのかと聞くと、結構楽しんでいる。家にいる時間が増えて、家族との関係が良くなったとか、近所にある自然を改めて認識できたとか、ご近所づきあいが増えたとか、いいことがたくさんあるんですよ。そういうことを今までは、物質的なもので全部覆い隠していたともいえる。

小川:例えて言うならば、トイレのあり方も変わってくるのでしょうか。

石田:変わると思うよ。私がいるときに、すでにトイレは穴が一つあったらいいでしょ、そういうデザインから始めようと話していた。エネルギー的には何も問題ないけど、水で流すという概念を変えないといけない。
 1日2Lの水があると実は暮らせるんです。東日本大震災で水もガスも何にもない中で、2ヶ月間、私はそれで暮らしたわけだから。ペットボトルの水2Lが1本あると、顔を洗ってご飯を作って、洗い物も全部するわけです。ところがトイレに行って、1回流すと10L必要になる。こんな馬鹿なことはないとつくづく思ったけれども、そんな馬鹿なことをやっているわけです。
 だから、どんなトイレにしようということは、今言えないのだけど、我々は物質的なものの上に安閑として乗っかってしまっている。だから、それを否定するわけではないのですが、それをどう変えられるのだろうということを楽しくワイワイガヤガヤ、バックキャスト的に、水が1日1人当たり3Lしか使えません、その中で、どうやって心豊かに生きるのかという議論をすればいいんです。
 今のトイレをどうしようかと考えると、フォーキャストの思考回路になり、改良しかなくなってしまう。そうすると、省エネというレベルから絶対外れられないです。思考のスタンスを、バックキャストに持ってこないと。例えば、3Lしか水が使えませんという中で、どうやって笑顔あふれる暮らし方をするかという議論がこれから当たり前のように必要になってくる。そんな議論をするのは面白いね。

笹野:楽しそうですね。ゲーム感覚というか。

小川:どうですか、後藤さん。

石田:昔から、私はずっとこんなことを言っているので、この人は、それでいつも苦労してる(笑)。

 

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後藤:暮らし方の中で、どうしても理解できないのは、ミニマリスト。部屋に何も置かないというのは、究極なのでしょうか。

石田:いや、そんなことは全然思わない。それをやりたい人はやればいい。それは、個のデザインです。

後藤:個のデザインという形で、そこをめざす人はそれでいいじゃないかということ。

石田:それを私たちが非難する必要もなくて、それが幸せだと思うならそれでいいじゃない。最近の若い人たちは例えばアンティークみたいなものがすごく好き。有名なものを集めるのではなくて、自分の目利きで集めてそれを眺めている。それでもいいじゃないか。奄美で暮らしているのにうちみたいに相変わらずエアコンの買えない家もある。それでもなんとか暮らしている。基本料金だけですよ、うちの電気代。
 多様性と言いながら、生物の多様性ばかりで、人間の多様性を認めないというところもあるからね。だから、断捨離したい人はすればいい。ミニマリストをやりたい人は、やればいい。ただ、エアコンをガンガンつけたり、電気をつけっぱなしにするような暮らしは、やめてよね。おそらく2025年から炭素税のような概念、キャップがかかってくるので、最終的には個人にもかかってくる。CO2 1tあたり3万円くらいかかってくるので、そうすると、日本で、今の火力発電で電気を作っていると、電気代はおそらく4〜5倍にはなってくる。それでも平気だよという人は払えばいい。でも近所から指を差されるかもしれない。要は、制約がかかってくる前に、その一歩先を行かないと、豊かな暮らしはできない。

小川:制約が目の前にあるということを、まずは受け入れること。受け入れた上で、でも、すぐには難しいですよね。

石田:もうひとつ考え方があって、人間は何もせずに全部してもらえると幸せかというと、そういう生き物ではないんだよ。ネジがあったら緩めたいし、蓋があったら開けたいし、路地があったら入りたいし、そういう生き物なので、今の物質的な豊かさに、本当に人間が満足しているかというとクエスチョンの部分があると私は思っています。ただ、いろいろなメディアも含めた情報の中で、それが便利なんだと洗脳されているところがあるのではないかな。
 その証拠に、だったら家庭菜園をなぜやるの? DIYがなぜブームになるの? みんなちょっとした不自由さ不便さというものを自分でコントロールして、道具に使われるのではなくて、道具を使いこなす、そのような人間としての本来の機能を求めているのでは? ということも思っている。だから、私は一生懸命ちょっとした不自由さ、不便さを越えられるよと言い続けている。人間の本能的なものだよね。そうじゃないと思ったことがあれば言っていいんだよ。

笹野:いえ、納得していました。祖母が家庭菜園をしているし、DIYもしているし、ああそうだよなと。全て便利すぎても、不満に思っているから何かやっているので、親戚が便利すぎても…と言っていたので、ああ確かに、と納得して聞いていました。

小川:周りにやっている人がいると想像がつくかも。周りで、やっている方がいない中で想像するのは難しい。

石田:聞きたいのだけども、今のZ世代は本能的に未来に対して、未来はきっと明るいんだろうと思ってる?

笹野:明るいとは思っていないです。

石田:未来をどう思っているのだろうか?

笹野:全てに、ちょっと問題があるという漠然とした思いは絶対あります。環境にしてもそう。将来、子供を産んで、教育という部分でも、いいイメージがそんなにないです。だから、そのために就職先をちょっと早く考えたり、自分でできる力を備えたいという人が多くなってる。それこそ、起業をする若者が多いのもそれなのかな。漠然と自立をめざして、その問題に向けて生きていけるようにしていきたいということがあるのかな。NISAとか株とか、もう大学生でみんなやっていたりするので、不安にならないように、ちゃんと自立していこうという人が多いです。だから、不安はあります。

石田:それに対して、こういう方法があるよということが、ほとんどない。方法があると思って、就職を先にするとかいうのだけども、それは違うでしょということが、たくさんあるわけね。だけど、メディアはそっちの方向に持っていっている。だから、彼女たち彼らを一段高いところへ引き上げるような、こういう選択肢もあるよということを示すのは、私たちの仕事かもしれないし、あなたたちの仕事でもある。

小川:まさに。私たちの役割なのでしょうね。

石田:ちょっとした不自由さは今の社会は全然厭わないと思います。そのちょっとした不自由さがどんなことか、まだよく理解できていないのだと思う。コロナで、みんないろいろなことを考えましたよね。それこそまさに、ちょっとした不自由さを越えるためのキーワードでしょ。そういうことでいいと思う。

小川:メディアが、ということはあるかもしれませんが、例えば、今まで(株)LIXILが快適であることを一生懸命追求してきたことが、プラスチックもそうですが、突然それが悪というか、だめだと言われ、それで、いきなり豊かさと言われても、いままで経済活動を担ってきた人たちからすると抵抗感があると思います。さらに厳しくなるビジネスシーンや社会という場へ、これから若い人は出ていきますよね。そうすると、若い人たちだけで、そこを変えていくということではなく、我々も一緒に考えていかないといけないと思っています。

石田:今、私が話したことをそのまま現実に当てはめてくださったのですが、そういう議論をすると今のビジネスが全部だめになってしまう。ところが、そうではなくて、まだちょっと余裕がある間に、今のビジネスをどうやって環境負荷の低い形に変革をしますかというフォーキャストの仕事と同時に、厳しい制約の中で、このままでは生きていけないから、今ある技術、強みを活かして、新しい社会に貢献できるどのようなビジネスができるのだろう? ということを、バックキャストで考える。現在の延長で、あるところまで何らかの限界までいったときに、こっちへ乗り換えていくという、ビジネスシステムとしては、そういう概念は必要だと思う。
 だから、トイレで言うと、水を使わない、エネルギーも使わないトイレを一生懸命開発しないといけない。けれど、本質的に、資源エネルギーの制約がきたときに、トイレには何の役割があり、どういう機能を持てばいいのか? という議論がこっちから始まって、あるところで、あるところというのは、2030年くらいですが、そこでこっちに乗り換えていく。そういうアプローチは、どうしても必要になってくる。

後藤:私たちが社員に対して、しばしば文化活動について以下のような説明をします。当社は「豊かで快適な住生活の実現」という企業理念があるが、「快適さ」はお金を出せば得られるけれども、「豊かさ」はお金だけでは得られない。この「豊かさ」を提供するのが文化活動なのですと。
 そうした時に、ちょっとした不便さを楽しむということが受け入れられない。快適さをお金で手に入れるのではなく、手に入らない快適さを豊かな気持ちで楽しむということでしょうか?
 今、悩んでいるところです。快適を望むじゃないですか、やっぱり。

石田:豊かさが快適さに勝るかどうかですね。例えば、私は豊かさが快適さに勝ると思っています。利便性にも勝ると思ってる。

後藤:そうしなくてはいけないんですよね、きっとね。よく言っているのは、世界で一番心の豊かな国がブータンだと言われている以上、そういうことなのだろうなと思いながら。

石田:ブータンは、数字上はそうなのだけども、今は、インターネットを使えるようになって、スーパーマーケットができて、どんどん変わってきているようですね。だから、そういうものと比べる必要はなくて、精神性の高さとはちょっと別で、先進国の中で、まずは考えてみましょう。
 今、いろいろなものが周りにありますよね。電化製品も全部あります。その中で、ちょっとした不自由さ不便さの中で、豊かであるというのはどういう形なのか? ということをまずは考えればいい。逆に言うと、1日3ℓしか水が使えない時代が来ますよ、それ以上使うと、すごい税金がかかってきますよという制約を前提にして、そんなときでも豊かで笑顔があふれる暮らしとは、どのような暮らしですか? というような、極端なことを考えてみると、見えてくる。
 今の状態を今どうやったら変えられるか? と考えていくと、いつまでたっても、省エネ、省資源からは抜けきれない。思い切ってバックキャスト側で考えてみましょう。

後藤:思い切ってバックキャスト側に行く、というのが難しいのだろうな・・・

石田:提案してるだけです。そういうことをまず考えてみる。お酒を飲みながら、ワイワイガヤガヤ考えればいい。ジュースでもいいんですけど。くどいですけども、みんなコロナでやったのですから。コロナ禍で、どうやって豊かに暮らすかということを、みんな一生懸命、知恵を出した。そこから200を超えるキーワードを拾い出したのですが、みんなすごいですよ。

小川:これは、もっと多重視点で、色々な人たちと楽しく議論をしていきたいですね。お酒を飲みながら(笑)。

後編に続く

 

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